<div class=pro\title></div>東京で先生にお会いしたときに、何とか残り一本をいただきました。
いつもと逆のやりかんな。
斗の斗繰りを槍鉋仕上げにするためのものになります。
裏を上に向けてつかいます。
この辺で出てくるスケベ椅子みたいな形の奴です。
社寺でよくみるあれです。
この丸くなったところを、仕上げるためのものですから、普通のものではいりません。
西岡棟梁の為に誂えになったものと同じ型で作ってあります。
加工材やRによって、穂のしのぎの角度や、形をある程度整えねばなりませんから、輪郭線等はざっくりしたてています。
鋼は、もちろん若き日に買い求めたスウェーデンサンドビック ハイカーボンカーボン1.25%のもので、往年のダンモネラ鉱山でとれたよい鉄より生まれたもので、しなやかさと研ぎやすさ、永切れ、切れ味ともにすばらしいものがあります。
中子、甲ともに槌で一発で打ち上げたごまかしの効かない手早く正確な槌遣いをあらわし、研磨なしでの整形であるということがにわかに信じがたいものがあるのです。
裏は、このそり形では金床がないので、センすきで縦。
脱硫してある重油炉で赤めて鍛造。灰の中で一昼夜焼きなまし後、松炭で焼きいれ等の熱処理してありますから、燃料中のりんや硫黄を食む余地を与えず、高純度でハイカーボンであるスウェーデン鋼の処女性を最大限におし留めた最高傑作です。
本業でもめったに使いませんが、一本いかが?